コンテナ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
コンテナ (container) とは、内部に物を納めるための容器である。
目次
|
概説
一般的には、鋼・アルミニウムなどで製造され規格化された大きさと形状の箱で、その中に輸送物をいれ航空機・鉄道・貨物自動車・船舶などで国内・国外輸送を行う。形状は通常直方体であるが航空機用など例外もある(後述)。
規格化されているために、同じ規格のコンテナ対応のすべての船やトラックなどの輸送手段で収納可能である。さらに船舶・鉄道・貨物自動車など異なった輸送手段間(インターモーダル)の積み替えが非常に簡単であり、工場で荷を詰めたコンテナをそのままトレーラーで運びコンテナ船や飛行機、列車に乗せ、海外で再度トレーラに載せ倉庫や店舗へ直送することができる。またコンテナ荷役は機械化されており、物流にかかる手間や時間を大幅に圧縮している。
以前から日本国内でよく知られているのは、日本国有鉄道が鉄道貨物輸送に採用して、「戸口から戸口へ」のキャッチフレーズで引っ越し荷物の輸送などでもなじみのあった貨物用コンテナであるが、これは国内ローカルの基準であり、世界で最も一般的なのは海上コンテナ(海上輸送用の規格サイズが国際的に統一されており、俗にISOコンテナといわれる)であろう。また、航空機用には、海上コンテナとは別のサイズの貨物コンテナ規格がある。なお、前記の貨物輸送に使われる大型のもののほか、個別配送の通い箱として使われる人間が持ち運べる大きさの小型の物や、一般家庭で衣類を収納保管するための衣装ケースなどの合成樹脂製の箱もコンテナと呼ばれる。
ここでは、主に国内外の一貫貨物輸送(物流用)に使われる大型のものを述べる。
海上コンテナ
海上コンテナのISO規格
- 海上コンテナの長さは主に20フィート(6,058mm)、40フィート(12,192mm)、の2種類がある。幅は8フィート(2,438mm)、高さは8フィート6インチ(2,591mm)だが、近年9フィート6インチ(2,896mm)の背高コンテナ(クンロク、High Cubeとも呼ばれる)も普及している。なお長さが45フィート(13,600mm)のものもあるが、それを積載したシャーシが公道を走れないので日本国内ではまれである。
- 海上コンテナの最大総重量(自重も含めたコンテナ全体の制限重量)は20フィートで20,320~30,480kg、40フィートで24,000~30,480kgである。
- 海上コンテナの自重(=Tare Weight)はドライコンテナで20ftが約2,300kg、40ftが約3,800kg。冷凍コンテナで20ftが約2,800kg、40ftが約4,200kg程度である。
海上コンテナの種類
- ドライ・コンテナ (dry container) - 身近な生活物資から工業製品や産業物資迄、一部の例外品等《液体、粉体、気体類等で小型容器などに詰め込む事の出来ない物資及び、専用の管理設備・機器が必要な要温度管理品、大物品、生き物、物資等》を除き、大多数の一般貨物に幅広く利用される。箱型トラックの荷台部分の様な細長い箱型のコンテナで、圧倒的本数を占めコンテナの基本中の基本タイプ。積み込み口は殆どが後部片妻一方開きタイプであるが、片側又は両側面が全面折戸式に開くタイプや、片側又は両側の一部分に開口戸があるタイプなど積荷や作業環境に応じた特殊なタイプも少数ながら存在する。 尚、基本的には床以外には内張りが全く無く、外気温の影響を受けやすく外気との温度差により積荷に水滴等が付き変質したり、特に夏場などは内部の温度がかなり高温になるなど、輸送中の気温変化に対する充分な対策と考慮が必要となる。
- ハイ・キューブ・コンテナ (high cube container) - 通常の各種コンテナより背が高く、9フィート6インチあるコンテナ。海外では早くから広範囲に普及していたが、日本国内では道交法による高さ制限等の問題で殆ど普及していなかったものの、近年の法令改正による道路環境整備や運搬シャーシ及び牽引トラクタ等の規制緩和で急速に増え、ドライ・コンテナ、冷凍コンテナに集中的に見られる。尚、ハイ・キューブ・コンテナの本来の目的は、軽量品貨物を従来の8フィート6インチコンテナへ目一杯に詰め込んでも最大積載重量を大幅に下回ることが多く、少しでも多くの貨物を合法的に積載する為に開発された。又、日本国内に流通しているハイ・キューブ・コンテナは殆どが40フィートタイプであり、20フィートタイプは極まれである。一般的には背高コンテナとも言われているが、日本国内の荷役従事関係者では『クンロク』とも呼ばれている。 このタイプのドライ・コンテナも背が高いだけで基本的には床以外には内張りが全く無く、外気温の影響を受けやすく外気との温度差により積荷に水滴等が付き変質したり、特に夏場などは内部の温度がかなり高温になるなど、輸送中の気温変化に対する充分な対策と考慮が必要となる。
- 冷凍コンテナ (reefer container) - 生鮮食品・冷凍食材や定温輸送が必要な化学品、電子部品などの輸送のためのコンテナ。基本的には内部に電動の冷却・加温ユニットを備え、+20℃から-25℃くらいまでの冷却・保温が可能である。少数ながら冷凍及び冷蔵扱いコンテナ本体に冷却・加温ユニットが一切無く、コンテナ本体の特殊通風孔を通して外部より冷気を循環させて冷却するタイプや、ドライアイスを詰め込み冷却する特殊なタイプもある。電動式の中には、二組の完全に独立した冷却装置を両妻壁側に備えて信頼性を高めたダブルユニット型、ツインユニット型と呼ばれるタイプがある。化学薬品・原料など、積み込みから積み出しまでのあいだ一定温度に保つ必要性が特に高い積載貨物に用いられる。海上コンテナ船輸送の最大の難点は輸送時間がかかる事で、この間、船上では担当船員が定期的に冷却・加温ユニットの点検や記録を管理してはいるものの、人為的管理ミスのリスクもある。これに備えて、通常時は自動交互運転しつつ、異常時には自動的に切り替わる。なおこのコンテナの積み込み口は片側又は、両側に設置してある。日本国内では20フィート型の運用が数社(日本ファインケム(旧、日本ヒドラジン工業)、化薬アクゾ、日本油脂等)確認されているが、40フィート型は未確認である。
- タンク・コンテナ (tank container) - 油類、化学薬品、各種ガス、濃縮果汁、原酒、食品原料など液体や液化貨物を輸送するためのタンクを備えたコンテナ。20フィートのものがほとんどであるが、各種ガス輸送用(ヘリウムガス輸送が多い)には40フィート型も少数ながら流通している。用途により様々なコンテナ外観・タンクの高さ・構造機能を備える。
- ハンガー・コンテナ (hangar container) - 外観はドライ・コンテナと変わらないが、内部にハンガーをかけられる取り外し可能なパイプ状のラックが多数備わっているコンテナ。衣類を畳まずに吊るした状態で輸送することが出来るので、商品の折れ傷み防止や積載品数の増加、梱包資材の節約、荷役労働環境の大幅な改善等の経費削減効果が大きく、近年注目されて来ている新しい輸送方法の一つ。
- フラット・ラック・コンテナ (flat rack container) - ドライ・コンテナに積載できない大型機械、円筒形プラント用設備、木材、石材、鋼材、工作物、インゴット、大型タイヤ、各種車輌、小型ボート、他、各種ケーブルドラムやロール状の鉄板などを積載するため、天井・両側壁が無く土台となる床の他に両妻壁(トラックの荷台で言う前後の壁の部分)又は、四隅柱若しくは幾つかの柱だけの開放型のコンテナ。柱すら無いものはフラット・ベッド又は、プラットホームベースともいう。尚、これらの妻壁、柱構造は完全固定型、折倒し可能型等に構造区分される。また、折倒し型は積載物無しの場合は数段に積み重ねが出来るが、この状態での船舶以外へ積み込んでの回送輸送(トラック・鉄道利用時)はごく一部の物を除き、構造安全上出来ない。但し、参考事例として国際輸送は出来ないが、日本国内専用のJR貨物指定の同様構造コンテナは段積み回送輸送が出来る。通常は海損防止のため船倉内に船積みされるが、その際にデッドスペースが発生するため海上運賃は高い。日本の12フィート鉄道コンテナを3個積載して、1個の40フィート海上コンテナとして輸送できるものもある。[1]更に、近年制作費の安い中国、韓国から12フィート鉄道コンテナを逆輸入するための、アダプター的役目の1個のみ搭載できる四角形骨組みだけの20フィート型のラックコンテナもある。但し、積載効率が非常に悪く輸送コストもかかるので、試作品や冷凍コンテナのユニット無し本体のみ等、特殊な事情時に運用される。
- オープン・トップ・コンテナ (open top container) - 天板の代わりに幌が張ってあり、クレーン等により上部開口部からの荷役ができるため、ドライ・コンテナに積載できない高さのある貨物や、ドアからの作業が困難な重量物等を積載することのできる無蓋コンテナ。尚、コンテナ本体より高さのある貨物を天井シートが盛り上がる様に積載する場合も多々るので、この様な場合はフラット・ラック・コンテナ同様に船倉内ではデッドスペースが発生するため、海上運賃は高い。又、区分上は別タイプとなるが、外観はドライ・コンテナと変わりはないものの、屋根の天板部分全体をクレーン等で吊り上げ開閉するタイプも少数ながら流通している。但し、このタイプは当然盛り上がる様に積載する事は出来ないが、船倉内でのデッドスペースは発生しない。他、少数ながら高さが4~6フィート程のハーフ型も専用貨物輸送用として存在する。
- カー・ラック・コンテナ
- ペン・コンテナ
- ベンチレーター・コンテナ
- ハイド・コンテナ
- バルク・コンテナ
- 基本的に海上コンテナは船会社や物流輸送専門会社、リース専門会社の所有物である事が殆どの為、輸出のコンテナ詰めをする際には空コンテナを船会社等から引き取り、また輸入貨物を出して空になったコンテナは船会社等に返却する。タンクコンテナはその性質から同一荷主が使い回す事が殆どの為、荷主の所有物(S.O.C.=shipper's own container)であることが多い。しかし、近年では積荷の性質上に派生する修理・点検やタンク内外の洗浄メンテナンス他、各国の諸事情による検査手続きの複雑化等の膨大な維持費節約や効率化の観点から、タンクコンテナリース専門の会社も多数存在する。
海上コンテナとコンテナ船
- コンテナを運搬する貨物船をコンテナ船といい、コンテナのみを運搬するものをフルコンテナ船という。
- コンテナ船では、20フィートコンテナを前後に2個並べた上に40フィートコンテナを重ねることができものが多い。しかしどんな船でも40フィートコンテナの上に20フィートコンテナを乗せることはできない。
- コンテナ船の荷役において、船倉にはコンテナが左右にずれない様にするためのセルガイドという鋼鉄製の枠に沿って上から積み込むが、甲板上では個々のコンテナを1本20kg以上もある鋼鉄のバーやターンバックル等の機材で固定(ラッシング)する必要があるが、その作業は全て人力である。
- コンテナを積み卸し専用の岸壁クレーンをガントリークレーンといい、揚貨能力はおよそ35トン以上、作業のスピードは熟練工の場合1時間に40本以上も行う。
- コンテナ船の規模は、TEU(twenty-foot equivalent units、20フィートコンテナ1個の大きさ)という単位で表されることが多い。1TEUは6.1m × 2.44m × 2.6mでおよそ39 m³である。コンテナ船の大型化は年々進み、1980年代末にはパナマ運河を通れないほどの大きさ(オーバーパナマックス)の4000TEUクラスが登場したが、2000年代に入り6000TEU、8000TEUという超巨大船まで就航している。
- 最新の世界最大級のコンテナ船一例として、2006,10,08に神戸港・六甲アイランドC4・5岸壁《兵庫県神戸市東灘区向洋町西》経由後、2006,10,09に名古屋港・飛島南コンテナターミナル《愛知県海部郡飛島村東浜》へ、デンマーク海運会社のフルコンテナ船「EMMA・MAERSK」(エマ・マースク)が寄航している。
- 全長 397m 、全幅 56m(コンテナ横向き、最大22個列対応)
- 積載個数(TEU) 11,000TEU 、喫水 16m
- 総トン数 170,794トン 、重量トン数 156,900トン
- 全長は、東海道新幹線700系のぞみ号(JR東海)16両編成の約404mにも迫る。
海上コンテナの陸上輸送
- 車高規制:背高コンテナをコンテナシャーシに積載した場合、荷台の高さ約1,200mmを含めれば約4,100mmとなり、日本の道交法で定められた車高3,800mmを超えてしまう。しかしこの種のコンテナを積載した状態で高さが3,800mm以下となる超低床車体の開発が不可能であることや、海上と陸上を一貫輸送するコンテナの性格から貨物が分割できないものであることから、道路交通法第57条3項の規定の対象としない特例措置として取り扱うこととなり、定められたルートに限り通行が可能になった。大型コンテナ積載車の通行が必要とされる「幹線道路網」は全国で約2万9000キロメートルとされており、その内47区間(560キロメートル)でいまだ通行が制限されている。これについて国交省は、2010年代半ばまでに解消する計画を持っている(2006年6月現在)。事業費は約9,000億円。
- 重量規制:これまでISO規格海上コンテナの陸上輸送は、道路交通法上20フィートで20,320kg、40フィートで24,000kgまでのものに限られていた。これはフル積載されたコンテナはそのままでは陸送できないことを意味し、陸海一貫輸送ができないことに海外の不満が強かったが、1995年3月に閣議決定された規制緩和推進計画によって、認定を受けた3軸トレーラとトレーラヘッドによる輸送がようやく認められるようになり、20フィートで24,000kg、40フィートで30,480kgまでの輸送が合法となった。なお、3軸トラクタ・トレーラへ切り替える輸送業者の負担を考慮し、既存の車両に必要な構造変更を施したものについては2008年3月末まで使用の継続が認められている。なお、20フィートの空コンテナの回送は空コンテナの自重が約3,000kg未満のため、新中型自動車免許(現普通自動車免許)で運転できる4トントラックで、輸送が可能である。4トントラックでの輸送は海上コンテナをベースにしたコンテナハウスなど改造コンテナも多い。
- 海上コンテナのサイズは鉄道コンテナより大きいが、JR貨物では現存する鉄道貨車(コンテナ車)の改良や積載可能な新車の増備を進めており、海上用コンテナを搭載可能なコンテナ車も存在する。
海上コンテナの旅
コンテナ詰めされた一般貨物は基本的に以下のように流れる。特殊貨物や工場バン詰め貨物等についてはこの限りではない。
- 輸出貨物を通関業者等の保税蔵置場に搬入し、通関する。
- 船会社のバンプールから、コンテナ専用シャーシで空のコンテナ(=空バン)を引き取る。
- 保税蔵置場にてコンテナに貨物を詰める(=バンニング)。コンテナのドア口には防犯用に船会社から配布される、管理番号が書かれたシールという封印をかける。
- 専用シャーシで船会社のコンテナヤード(=CY)に搬入し、荷役日まで一旦蔵置される。
- 荷役プランナーが個々のコンテナの向け地や重量などを勘案して本船上における積載位置等をプランニングする。同時にコンテナヤード内においても積載プランに応じたコンテナの配置替えを行う。
- 荷役当日、ストラドルキャリアまたはトランスファーテナー等によって、ヤード内から順番にコンテナが搬出され、本船荷役専用の特殊シャーシに載せられ、船側(せんそく)に運ばれる。
- ガントリークレーンにより1本ずつ本船に積み込まれる。船倉内は大抵セルガイドという横ずれ防止用のレールがあるので特に固定する必要はないが、甲板上に積む際には上下のコンテナ同士を「ツイストロック」「オートロック」などの器具で固定するほか、1段目~3段目までのコンテナを「ラッシングバー」「ターンバックル」などで固定する。なおこの作業は基本的に人力である。
- 到着地では船積みとは逆の順序でヤードに蔵置され、貨物はコンテナに入った状態で輸入者に委託された各々の通関業者によって通関される。コンテナそのものも輸入品であるが、国際コンテナ条約により船会社がまとめて簡易通関する(=コンテナ通関)。
- 専用シャーシにてコンテナを引き取り、内陸の倉庫や工場等へ運ばれ、中身を出す(=デバンニング)。そして空になったコンテナは専用シャーシで船会社のバンプールへ返却される。
鉄道コンテナ
アメリカ合衆国やヨーロッパなどでは、前述の海上コンテナ(ISO規格コンテナ)の使用が一般的で、コンテナ貨車を 100両以上連ねた長大な貨物列車(俗に「マイル・トレイン」と呼ばれる)が効率的な物流手段として日常的に運転されている。車両限界に余裕のあるアメリカなどでは、コンテナを上下2段に積み重ねて輸送する「ダブルスタック車」も見られる。
日本
|
|
日本では、日本国内の事情(道路上の輸送、輸送単位など)に基づく独自の 12フィート (ft)(3.6m、積載量5t)のものが主体である。 ごく一部 15フィート(4.5m)のものもある。 最近は紙輸送列車や化成品輸送列車のコンテナ列車化、モーダルシフト化が進んでおり、大型コンテナも増えてきている。 中にはISO規格海上コンテナと同規格の鉄道コンテナも存在する。 12フィートコンテナも、輸送障害等を考慮し海上輸送可能な船舶積載時に使用する隅金具装備のコンテナが増備されている。
従来は、鉄道用コンテナの多くが国鉄→JR貨物所有であったが、鉄道コンテナ私有の規制が緩やかになった為、海上コンテナ同様多数の運送事業者(宅配便、専門輸送会社など)やリース会社が所有し、多種多様になって来ている。
現在の日本における鉄道コンテナの規格は、次の様に定められている。
- 1種(12フィートコンテナ):長さ3715mm、幅2450mm、高さ2500mm、最大総重量6.8t
- 2種(20フィートコンテナ):長さ6058mm、幅2490mm、高さ2500mm、最大総重量13.5t
- 3種(30フィートコンテナ):長さ9125mm、幅2490mm、高さ2500mm、最大総重量13.5t
※、上記の規格より各数値が大きい場合は規格外コンテナとされ、積載貨車や運用区間が限定される場合がある。 規格外コンテナは黄色のひし形マークに、高さ(H)、長さ(L)、幅(W)、総重量(G)を意味する HLWG の英数字が書き込まれているマークが付けられ、その内のどれかの値が規格内であればその部分は黒く塗りつぶされる。
日本国内の鉄道貨物独自のコンテナ仕様には、エンジン付冷凍コンテナがある。関東~北海道間の限定輸送で始まった冷凍コンテナは、海上コンテナ同様に冷凍機がモーター駆動のため、外部電源が必要である。しかし通常の貨車には電源装置が無いため、発電専用の予備発電機を搭載した二重系統仕様の専用電源コンテナ(G30A形式、ZG形式)を積んだ貨車の前後を、電源供給用引き通しケーブルを設けた貨車で挟む形の列車に積載する必要があった《これを集中式クールコンテナシステムと言う》。この方式だと長時間輸送中は多少の途中停車駅で点検等はするも、それ以外は乗務員等の目に触れないため万一の発電機停止等のトラブルにより、積荷が変質するなどの致命的打撃はほぼ免れる。しかし、積載貨車が限定される他、輸送トラックには小型発電機を装備したり発送者・荷受人両方に置いて3相200V工業規格の専用給電設備の必要性等、集中式専用冷凍コンテナ運用の自由度は極端に低いため、採算確保も難しく登録運用されていた集中式専用コンテナも僅か、日本通運、全国通運、西濃運輸など、三社総合計約60個程度にとどまっていた。
- 12ft(フィート)5t積載用、UF15A-1000番台《全国通運(コンテナ番号1001・1002)、日本通運(コンテナ番号1003~1010)、合計10個》
- 20ft(フィート)10t積載用、UF26A-1000番台《日本通運(コンテナ番号1001~?)、西濃運輸(コンテナ番号103?)、合計30数本》
- 20ft(フィート)10t積載用、UF27A-1000番台《全国通運(コンテナ番号1001~1015)、合計15個》
更に貨車に積込・積降し時の付帯する多数の電源ケーブル接続や点検、機器の設定等の諸作業にも膨大な手間暇がかかった。この為、1988年より関東~北海道区間(JR貨物指定国内専用冷凍コンテナのみに限定輸送)が開設されるも、僅か数年の短命で中止されてしまった。但し、その後にJR貨物仕様の集中式クールコンテナシステムとは別に国際海上冷凍コンテナのみを対象として、関東~東北地区への新ルートを新たに開設し、現在に到っている。なお、一度の輸送個数が数個程度のために、新たに2tタイプの電源供給用専用電源コンテナ(私有UG8D形式、中村荷役所有)を、5個(UG8D-01~05)新規に制作した。
その集中式の欠点を解消すべく打開策として、旧、国鉄時代に既に開発され運用していた各コンテナに独立した小型ディーゼルエンジン発電機を固定装着し、その電源で冷凍機を駆動する方式の20ft10t積載私有冷凍コンテナUR5形式(日本通運、福岡運輸冷凍輸送《通称、福岡運輸》)や、JR貨物以降後にそれまでの実績を引き継いで新開発された12ft5t冷凍コンテナ新形式(UF15A形式)等が新たに初期大量投入される《これを分散式クールコンテナシステムと言う》。しかし、その後に登場した(集中式)との兼ね合いで一時期増備が止まっていたが、集中式の終焉が色濃くなる頃より新たに登場した新形式UF16Aと共に再び大量増備が始まり、他、20ft10tタイプ、31ft10tタイプ等、現在国内で流通しているJR貨物指定の鉄道私有冷凍コンテナは全て分散式で全国運用されている。この方式だと、貨車やトラックに発電機を積む必要が一切無く、発送者から荷受人に渡るまで青函トンネル通過時等を除き、冷凍機を停める事もなくコンテナ内部の温度センサーでの完全自動運転により、最大約100時間程度の無給油連続運転輸送が出来る。ただし、スペース等の関係から発電機は一台のみで、集中式の様な二重発電機能は一切無く、又限られた非常に狭いスペースに発電機設備一式を押し込んでいるので、発電エンジンの高温排気熱や激しい振動等に長時間晒される為に、日頃のメンテナンスを怠ると発電停止による積荷の変質事故は無論、最悪は走行火災を起こしコンテナ本体や貨車、周りの環境に多大な被害を及ぼす。近年には(分散式の)古い冷凍コンテナによる走行火災事故も数件発生している。
本土と北海道を結ぶ青函トンネル内では、走行火災事故やエンジンからの排熱による火災報知器の誤作動を防ぐためにエンジンを完全に一時的に止めなければならない。エンジンの停止・始動は、青函トンネル前後の地上に設置された装置からの指令を無線受信することにより行なわれるが、受信装置が付いてないエンジン付冷凍コンテナもある。リモコン装置が付いていないコンテナは、青函トンネルの通過を禁止されており、それらの冷凍コンテナ両側面には《青函トンネル通過禁止》の表記が義務付けられているが、古いタイプには未表記も多数存在する。
- エスカレータ部品輸送用コンテナ JR東日本横浜支社が2005年に開発したコンテナ。鉄骨製で駅のホームに面した面が開いた構造になっていて、そこから駅のホームへエスカレータを出して工事を行う事ができる。この車両は屋根付きのため、き電(架線への送電)を停止せずに作業を行う事ができるという特徴がある。
関連項目
- JR貨物のコンテナ形式
- コンテナ荷票
- モーダルシフト
航空機用コンテナ
飛行機のメーカーや機種、運行する航空会社に応じて作られているといわれる。飛行機内部の限られた貨物スペースに搭載する関係から1辺が1~2m程度、長くても6m程度で、海上用や鉄道用に比べると非常に小さい。円筒形をした飛行機の断面に合わせるため、直方体の箱のほか、その一辺を欠いたような五角柱形状のものも多い。軽量化が優先されているため強度が弱く、損傷が多いといわれている。その為、航空機用コンテナを空港と航空貨物会社の市内営業所等の間で輸送する場合、屋根付きのトラック(ウィング車等)が使用される場合が多い。他のコンテナ同様、保冷機能を有したものもある。変わったものでは競走馬専用のコンテナや貨客兼用機(コンビ型)用の客室乗務員休憩室コンテナがある。
歴史
コンテナの発明
コンテナ化は貨物の荷役作業はもとより、物流全般、港湾・倉庫・船舶・鉄道の設計や仕組みまで激変させた、20世紀の物流革命の最も重要な要素である。船舶用コンテナの発明者は全米有数の陸運業者を裸一貫から創業したマルコム・マクリーン (Malcolm McLean) といわれる。そのアイデアは1930年代、彼がニュージャージーのトラック運転手だった時代にまでさかのぼるが、実現したのは彼が船会社「シーランド (Sea-Land)」(現・マースクライン、Maersk Line)を設立した1950年代だった。
かつては貨物船の荷役は、いくらかのクレーンを補助的に使うほかは、基本的に陸仲士や沖仲士といわれる港湾労働者たちが大勢で人手で行っていた。彼らは岸壁に停泊した本船に数日がかりで荷物の積み下ろしを行っていた。港の沖では、無数の本船が岸壁の順番待ちをしており無駄な時間をすごしていた。こうした港湾での待ち時間は、世界的な船のスケジュールや、陸上輸送・工場生産のスケジュールをも狂わせていた。はしけにより沖仲士が海上で荷役作業をすることがあったが、風が強く海が荒れている場合などは大変危険な作業であった。
陸上での、トラックから倉庫や船への積み下ろし作業も、手間と時間がかかるものだった。個人トラック業者だったマクリーンは、積んできたトラックの荷物が船に積まれていくのを岸壁でじっと待つ間、トラックから荷物を降ろしてまた本船の船倉に並べなおすよりは、いっそのことトラックごと船に積んでしまえばどんなに楽になるだろうと思っていた。
コンテナの実用化
マクリーンが陸運会社を大きくした1950年代後半、彼はかねてからのアイデアを実現に移すべく中古貨物船を購入して改造し、トレーラーをそのまま船倉に乗り入れさせて積み込む貨物船(RO-RO船)を実現した。だがこれはトレーラーの車輪や運転席の分だけ無駄なスペースが必要で、もっと効率的に詰め込むため、彼はトレーラーの運転席・車台部分と荷物の入った部分を分離させ、荷物の入った箱型の部分を規格化して「コンテナ」にし、一方船側の船倉全体に規格化されたコンテナを積み木のように積み固定するためのガイドレールを縦横に設けた「コンテナ船」を発明した。このコンテナを運ぶクレーンは当面は船にも設置したものの、基本的に船には余計なクレーンは設置せずに、港の岸壁にコンテナ積み下ろし用の「ガントリークレーン」を設置して、将来はこれを世界中の港に整備すべきだとした。
コンテナの世界制覇
このコンテナ化により、船に積んだコンテナを別の港で規格化された車台を持つトレーラーにおろしてそのまま客先まで運ぶという、海陸一貫輸送がついに実現した。彼はこれらのコンテナ船を持つ会社を海陸一貫の理想をこめてシーランドと名づけ、アメリカ国内航路だけでなく海外航路にも乗り出した。アメリカの同業者や欧州、日本の船会社も追随し、1970年代には世界各地の主要港で港湾労働者の「コンテナ化反対運動」のさなか、コンテナ専用埠頭が次々完成した。 この時代、日本の神戸港がコンテナ取扱個数世界一を誇っていた。
世界中の航路を2000TEU級の大型船が往来し、ガントリークレーンを使いわずか一日以内で貨物の積み下ろしを完了させて次の港へ向かうという、定時性が高く圧倒的に早いコンテナ時代が到来し、世界の貿易や物流のありようが、わずか十数年で根底からがらりとかわってしまった。コンテナ船に対応できない従来型の埠頭や倉庫は放棄され、急速に寂れていった。
コンテナの更なる拡大
1980年代末には、貨物が急増する日本・アジア~北米間の海上輸送に対応するため、狭いパナマ運河を通るのをあきらめて4000TEU級の巨大船が建造され、オークランドやロングビーチなど太平洋側の港で船から大陸横断鉄道の貨物列車の台車(コンテナ車)に直接コンテナをおろして、全米へ走らせることにした。コンテナを一度に大量に運ぶ船の導入により、効率化と運賃競争激化への対応をめざしたものである。また、鉄道で西海岸から東海岸に運送したほうが、すべて船で運ぶより到着時間が早いメリットもあった。さらに、9.6フィート高のコンテナや、45フィート長の大型コンテナも登場する。
近年は中国の「世界の工場化」にともない輸送量がさらに増える一方運賃競争も激しさを増し、コンテナ船会社同士の国境を越えた合併が相次ぎ、船自体も8000TEU、9000TEU、14500TEUという全長300mを超える超大型船が運行されるようになった。これにあわせ、世界中の港ではガントリークレーンの大型化や岸壁の水深を深くする作業に追われている。今日では一年間の船舶輸送のうち、90%以上がコンテナ化され、年2億個以上のコンテナが輸送されている。
ISOによるコンテナ標準化で、陸運会社や鉄道会社は、ISO標準コンテナに合わせた大きさのトレーラーや貨車の車台に置き換える作業を進めるはめになった。また、まちまちの大きさだった貨物用パレットも、ISO標準コンテナに合うサイズに標準化されてきており、独自のパレット規格にこだわってきた日本の各業者も標準化が急務となっている。
特徴
以下は、貨物輸送用コンテナについての説明である。
メリット
- 丈夫な箱で保護されているので個別の積荷の梱包が簡略化できる。また、コンテナは再利用が可能なため、梱包コストが削減できる。
- 一定量の輸送物がまとまっているので輸送機関の間の積み替えが簡略化できる(貨車⇔トラック⇔貨物船相互間でコンテナごと積み替えられる)。これにより、ドア・ツー・ドアの一貫輸送が可能となる。
- 輸送手段と切り離した状態でコンテナに入れたまま保管でき、倉庫代わりになる。コンテナに入れたままコンテナターミナルや地面に野積みすることで、倉庫や上屋に貨物を入れる手間が省ける。
- 輸送中の水濡れなどの事故が少ない。また、海上輸送において、これまで甲板積みができなかった貨物も、コンテナ船であれば甲板積みが可能となる。
- 荷役の機械化によるコンテナ船荷役の高速化・停泊日数の短縮、コンテナ船自体の高速化などにより、輸送コスト・時間が大幅に縮減でき、しかも時刻表どおりの定時性が実現できる。
デメリット
- 大型の荷役機械(フォークリフト、クレーンなど)が必要である。
- コンテナの重さが運賃に加算される場合もある。
- ロットの小さい貨物はFCL(フル・コンテナ・ロード)貨物とすることができず、相積貨物を探して混載しなければならない。
種類
輸送手段ごと
- 船舶用: 上記の海上(ISO)コンテナ。特に大型のものが多く、日本の道路法では走れないサイズのものもある。
- 鉄道用: 日本の鉄道の車両限界の関係で独自に大きさが定められている。また、向きを変えることで新幹線と在来線の両方に対応できるよう配慮されている。(ただし新幹線によるコンテナ輸送は計画はされたものの、実際には行われていない。もとから計画のみで実行の意図がなかったとも言われる。新幹線の項目に詳しい。)
- 航空用: 軽量化や機内の積載効率を考慮して独自の規格となっている。
大手コンテナ輸送業者
| 世界の11大コンテナ輸送会社 (左表は船舶数順、右表はコンテナ輸送数順(TEU) 1TEU = 20フィートコンテナ) |
|||
|---|---|---|---|
| 2006年5月28日 | |||
| 会社名 | 船舶数 | 会社名 | TEU |
| マースクライン(サフマリン含む) (デンマーク、アメリカ) |
549 | マースクライン(サフマリン含む) (デンマーク、アメリカ) |
1,723,170 |
| メディテラニアン・シッピング・カンパニー(MSC) (スイス) |
299 | メディテラニアン・シッピング・カンパニー(MSC) (スイス) |
893,503 |
| CMA-CGM(フランス) | 256 | CMA-CGM(フランス) | 507,500 |
| エバーグリーン(長栄海運)(台湾) | 153 | エバーグリーン(長栄海運)(台湾) | 439,538 |
| 中国遠洋運輸公司グループ(COSCO)(中国) | 118 | アメリカン・プレジデント・ラインズ(APL) (シンガポール、アメリカ) |
315,879 |
| チャイナ・シッピング0(中海集運、CSCL)(中国) | 111 | ハンジン・セネター(韓国、ドイツ) | 298,173 |
| 日本郵船(NYK)(日本) | 105 | チャイナ・シッピング(中海集運、CSCL)(中国) | 290,089 |
| アメリカン・プレジデント・ラインズ(APL) (シンガポール、アメリカ) |
99 | 中国遠洋運輸公司グループ(COSCO)(中国) | 289,800 |
| パシフィック・インターナショナル・ラインズ(PIL) (シンガポール) |
97 | 日本郵船(NYK)(日本) | 281,722 |
| ZIM(イスラエル) | 93 | OOCL(香港) | 237,318 |
| CSAVグループ(チリ) | 83 | CSAVグループ(チリ) | 215,992 |
(出典: BRS-Alphaliner)
- 2005年8月、マースク・シーランドはP&Oネドロイド(イギリス、オランダ)の買収を完了した。2006年よりマースクラインの統一ブランドで運用されている。
コンテナを使った居住・貯蔵空間
コンテナは強度があり、耐久性も高く、規格化され、積み上げることや切断することができ、移動可能で、世界中にあふれており比較的安いため、理想的な建築材料とも言える。コンテナを買い取って物置代わりに使う家庭や、建築現場やイベント会場での仮設オフィス、空き地でのカラオケボックスに使う会社などは以前からあったが、コンテナを多数組み合わせて家やオフィス、アパート、寮、学校、アトリエ、シェルター(避難小屋)、仮設住宅などを作っている一般家庭や会社、あるいは建築家も世界的に増えている。
1991年の湾岸戦争で、コンテナは当初の予定にない様々な使われ方をした。多国籍軍の物資を運ぶだけでなく、換気のために穴を開けることで、間に合わせの居住空間や捕虜の移動用としてもコンテナは使われた。コンテナは敵の攻撃に備える遮蔽物としても使われ、壁面に土嚢を積むことで対戦車ロケット弾(RPG)にも耐えうる簡易要塞を構築した。
1990年代以降、北アメリカには、貿易赤字に伴って比較的安いコンテナが大量にあふれることになった。工業製品はアジアから、一部はヨーロッパから、コンテナに積載されて北アメリカに来るが、北アメリカから輸出する製品は少なく、船会社はそれなりの費用をかけて空コンテナを大量に送り返す必要があった。空コンテナの返送費より新品のコンテナを中国などで買う費用の方が安い場合もあるため、コンテナを一方的にアジアからアメリカに送り、不要になった中古コンテナのアメリカでの新たな使い道を見つける必要が生じている。
キルギスタンなど中央アジアでは、ドルドイ(Dordoi、дордои)と呼ばれる巨大迷路のようなバザールがISOコンテナを積み上げて形成されている。ドルドイは首都ビシュケクをはじめ大きな町で、あらゆる商品、特に衣服などを扱う市場として設置され、市民以外にもカザフスタンをはじめ多くの遠来の客や商人を呼び込んでいる。
関連項目
- コンテナ船
- 物流
- ロジスティクス
- 倉庫
- 港湾
- コンテナハウス
外部リンク
- 横浜市港湾局 - 海上コンテナの種類
- 旭運輸株式会社 - 海上コンテナの種類
- 物流コンテナ株式会社シロ産業 - 海上コンテナの種類
- 板橋商事 - 海上コンテナ用語関連
- BIC国際コード所有者検索 - 海上コンテナ所有者検索用、国際登録機関公認サイト(英文)
- 日本工業標準調査会 - 下記5桁(例、Z1610)のJIS規格番号入力から、各種コンテナJIS規格詳細を検索可能
《番号》 《詳細内容》 Z1610 - 国内貨物コンテナ-外のり寸法及び共通仕様 Z1611 - 国内保冷コンテナ Z1612 - 国内保冷コンテナの保冷性能試験方法 Z1613 - 国際貨物コンテナ-用語 Z1614 - 国際貨物コンテナ-外のり寸法及び最大総質量 Z1615 - 国際大形コンテナのコード,識別及び表示方法 Z1616 - 国際貨物コンテナ-すみ金具 Z1618 - 国際一般貨物コンテナ Z1619 - 国際冷凍コンテナ Z1621 - 国際大形オープントップコンテナ Z1622 - 国際大形フラットラックコンテナ Z1624 - 国際タンクコンテナ Z1625 - 国際プラットホームコンテナ Z1626 - 国際大形コンテナの取扱い Z1627 - 国内一般貨物コンテナ Z1628 - 国内貨物コンテナ-コード及びマークの表示方法 Z1629 - 貨物コンテナ―上部つり上げ金具及び緊締金具
- コンテナの絵本 - コンテナファンのページ (日本語⇒海上コンテナ・国内内航コンテナ・国内鉄道コンテナ各種総合画像サイト)
- MATT'S PLACE-Intermodal Container Web Page - コンテナファンのページ (英文⇒海上コンテナ専門画像サイト)
カテゴリ: コンテナ | 容器 | 貿易 | 物流 | 輸送
Boggle
