ASTRO-G
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ASTRO-Gは、国際的な天体観測プロジェクトである宇宙VLBI計画「VSOP-2」で使用するために、日本の国立天文台 (NAOJ) と宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究本部 (JAXA/ISAS) が中心となって開発が決定している電波天文衛星である。
目次
|
目的
VSOP-2は、宇宙VLBI計画である「VSOP」の後継計画である。VSOPで用いられた宇宙電波望遠鏡である「はるか」は宇宙VLBIが可能であることを実証するための工学実験衛星であったが、実際に観測を行い大きな成果をあげた。そのためVSOPの後継プロジェクトは世界中の電波天文学者から早期の実施を望まれていた。
VLBIとは、複数の電波望遠鏡を協調して働かせることで、巨大な一つの望遠鏡で観測したのと同じ精度を得る技術である。宇宙VLBIとは、電波望遠鏡の一つを宇宙に置くことで、地球の直径の何倍もの大きさの望遠鏡を設置したのと同じ精度で天体観測を行う技術である。
VSOP-2では、ASTRO-G衛星を使って直径3万kmの望遠鏡を構築し、より高い周波数を使うことでVSOPの10倍の精度で観測を行うことを目標としている。この精度で銀河核やブラックホールなどを観測し、その構造や物理現象の解明に資することを目的としている。
主な観測目標は
- ジェットの構造と生成・加速領域
- 活動銀河核のブラックホールの降着円盤
- 星形成領域
- マイクロクェーサー
- 超新星
- 重力レンズ天体
など。
衛星
観測機器
当機の主鏡は軌道上展開式の9m口径電波反射鏡である。観測波長がミリメートルオーダーであるため、反射鏡は金メッキされたメッシュで用を成す。6個の小さなモジュールが組み合わさって大きな反射鏡を構成する構造になっており、これにはきく8号(ETS-VIII)の技術が使われる。ただし個々のモジュールは鏡面精度を上げるため、新規技術により開発される。
「はるか」では観測周波数は主に5GHz、最大22GHzであったが、当機では最大43GHzでの観測に対応する。これにより38マイクロ秒角の空間分解能を実現する。また「はるか」では不可能だった左右両偏波観測に対応する。
計画の推移
- 2006年5月9日にJAXA理事会で正式に承認さた。競合案件は次期X線天文衛星とソーラー電力セイルミッションであったが、事前にVSOP-2を推薦する方向で調整がなされていた。同年7月11日に宇宙開発委員会で計画の事前評価が行われ、妥当であると判断された[1]。国会で2007年度(平成19年度)予算として承認され、開発が決定した。
- 2007年から開発が開始される予定である。
- 2011年度の打ち上げが予定されている。
参考文献
- ^ ASTRO-G事前評価結果(文部科学省宇宙開発委員会)
関連項目
- 電波天文学
- 超長基線電波干渉法
- はるか(MUSES-B)
外部リンク
- VSOP-2ホームページ(国立天文台)
- VSOP-2計画(JAXA)
- ASTRO-G (JAXA/ISAS)
カテゴリ: 宇宙望遠鏡 | 電波天文学
Boggle